2015年05月12日
◇buisiness◇【超一流は、結果が出なくても「頑張らない」】
写真家Kayoko Takahashiが知りたいビジネス情報を綴ります。
ご訪問いただきましてどうも有難う御座います。
・
・
・
◇business◇地道にコツコツ続けること
『続ける』一日一日、一歩づつ。同じ事の繰り返し。小さな一歩がやがて大きな足跡になる。継続してできるもの。自分には何があるでしょうか。どんなに小さなことでも一年365日毎日続けることができたなら、一年後の今日はきっと違う自分になっている筈なのです。続けるって簡単ではありません。よっぽど覚悟を決めないと酷い時は三日坊主で終わることもしばしば。大かたがが威勢よく始まってもだいたい途中で投げ出したくなります。どうしたら続けることができるのでしょうか。これは人生最大のテーマです。こんなこと言っているようではたいしたことありません。まだまだ半人前ですね。でもね、好きなことは誰に何と言われようがやらずにいられないものなのです。ただ好きだから。其れだけの理由です。大義名分なんてそんな大層なものは何処にもありません。果たしてこれでイイのだろうか。
遠藤友則:ACミラン メディカル・トレーナーの記事よりNO2
【超一流は結果がでなくても「頑張らない」】
ACミラン本田圭佑が逆境に慌てない理由
遠藤友則:ACミラン メディカル・トレーナー
(東洋経済ONLINEより抜粋)
足首の負傷で戦列を離れていたACミランMFの本田圭佑選手。4月19日のセリエA第31節ミラノダービーで戦線復帰が取りざたされていましたが、今回は出場機会を得られませんでした。ケガの中で彼のようなトップ選手は、はたしてどのように過ごしているのでしょうか。

4月19日の戦線復帰はならなかった本田圭佑選手だが……(写真:アフロ)
「本田圭佑選手は、今シーズン前半の好調といい、どんなトレーニングをすれば、あれほどの逆境を乗り越えることができるんでしょうか?」
筆者が日本に一時帰国した際に、ACミランの熱心なサポーターから投げかけられた質問です。確かに本田選手は、シーズン途中で加入したミランでの1年目、求められた結果を出せず、続くブラジルW杯でも思うような成績を残せませんでした。
しかし、そんな中で迎えた2014-2015シーズンは開幕当初からのゴールラッシュ。ゴール数だけで見ると、前年度から大きな飛躍を遂げました。日本のマスコミは「逆境からの復活」「立ち直る力」と盛り上げているようでした。
はたして彼自身はどのように思っていたのでしょうか。
筆者は日本人ながら、これまで16年間にわたってACミランのメディカル・トレーナーを務めてきました。
筆者の在籍中、ミランは2度のスクデッド獲得(リーグ優勝)、チャンピオンズリーグ制覇を2回、準優勝も1回。トヨタカップの優勝も1回とまさに黄金期を迎えていました。
1)メディカル・トレーナーの仕事とは
メディカル・トレーナーの仕事はひと言でいえば、選手が100%の力で試合に臨めるようコンディションを整えること。試合前後のケアはもちろんですし、ケガをしてしまった選手のリハビリも行います。
こうした仕事を通じて筆者は、ミランの「レジェンド」と呼ばれる選手たちを、内部から観察し続けてきました。今は監督を務めているインザーギ、「ミスターミラン」と呼ばれたマルディーニ、黄金期を支えたガットゥーゾ、ピルロ、セードルフ、カフー、カカ、ロナウジーニョ、ロナウド。イングランドのスター、ベッカム。さらにはシェフチェンコ、イブラヒモビッチ……。
きら星のごとき、名だたる選手を間近に見ながら、陰日向にサポートをしてきたわけですが、たとえ一流の選手であっても結果が出ないときは当然あります。そんな状況の中でも、結果を出し続け、歴史に名を残す選手がいる一方、苦境に陥るとそのまま這い上がれずに終わってしまう選手もいます。
2)才能の差ではなく、「考え方」の差
結果を残す選手と、消えてしまう選手。違いは何だったのでしょうか。逆境から這い上がる選手の資質とは何なのでしょうか?強靭なメンタル?恵まれた才能? 運を引き寄せる力?
筆者は、両者に才能の「差」はなかったのではないかと見ています。もし違いがあるとするならば、それは「考え方」。逆境と言われていた時期をどう考え、過ごしていたかの差、それだけだったと思うのです。
どんな一流選手であっても、ケガをして試合に出られない、内容がよくても試合に勝てない、戦術の違いでベンチを温める……そんな状況は必ず訪れます。そんな中、「今まで以上にがんばる」「血のにじむような努力をする」「自分を見つめ直す」「やり方を大きく変えてみる」。
一般的には、結果が出ないと、そうしなければならないと考えてしまいます。結果の出ない現状を「否定」し、どこか別のところに正しい「解」があると思い込んでしまう。少なくとも「このままで大丈夫」とは思えないはずです。筆者もイタリアに渡る前は、当然、「努力」こそ正しい発想だと思っていました。
しかし、超一流になれる選手は違います。
彼らは絶対に「今はダメだ」「自分が間違っている」とは考えません。なぜなら「もっと努力しなければダメだ」は、これまでの自分を否定することになるからです。彼らは、結果に振り回されて、ペースを乱すよりも、継続することを大切にしているのです。
ミランで見てきた超一流たちの思考は、とてもシンプルです。
「焦らず。毎日コツコツ」
それが、超一流の行動学です。「それだけ?」と驚かれるかもしれません。
3)ひと息ついて、何が問題かを考える
ミランの一流選手は、みなさんが想像するように、試合に負けたからといって、「今より倍の練習をしなければ!」とか「やり方を考え直さねばダメだ」という方向には向かいません。また、「結果が出ないのは努力が足りないからかも……」と自分のプレーが冴えないことに対して変な不安も持ちません。
4)本田選手は不調時にどうする?
「不振に陥ったときには、何倍もの練習でそこから脱出できるはずだ」という考えは、とても偏った考えかもしれません。ミランの選手たちは不振に陥ると、むしろひと息ついて、何が問題であったかを考えます。そして、今までやってきた行動に対しての改良を「少しだけ」加えます。だから、外から見たら、悠長に見えます。
「不調に陥ったとき、王貞治さんはこれまで以上の練習をして結果を出した。ペレはコーヒーを飲んで、ゆっくり体を休めた」
という話を聞いたことがあります。本当かどうかはわかりませんが、はたからから見たら、こう見えるだろうというのもうなずけます。王貞治氏もペレ氏も、どちらもすごい結果を出した超一流であり、行動・思考もそんなに変わりはしないと思いますが、そこに違いを見出してしまう筆者たちは、「調子が悪いこと=悪」という意識が強すぎるのかもしれません。
結果が出ないのであれば、それに対しての対策を見つけ、実行すればいい、ただそれだけのことなのです。
2014年1月からACミランに加入した本田選手ですが、そのプレーに対してマスコミは満足できず、「不調」とか「逆境」とさまざまな評価がなされました。
そんなときも、現場で本田選手を見ている筆者には、本田選手が結果が出ても出なくても、自分がすべき課題を見つけ、コツコツとやっているように見えました。しかも、本来の調子を取り戻し、レギュラーポジションに定着しても、その「コツコツ」ぶりには、変わりはありませんでした。
彼とこの件で話したことはありませんが、自分なりの課題を決めて、それに対しての結果が出なくとも自分に必要なことであればやるしかないというスタンスだったのではないでしょうか。
筆者は、この本田選手の姿勢を見て、彼がシェフチェンコやカカと同じ「一流の器」であることを感じました。つまり、結果に波はあっても、全体で見てきちんと上がっていればOK。そんなスタンスです。
2014-2015年シーズン、開幕当初の本田選手の活躍を見て、「復活!」と報じたマスコミが多かったようでしたが、本田選手にとっては、「不調」であったわけでもなく、「復活」したわけでもなかったのではないでしょうか。単にやり続けてきたことの結果が出ただけ。彼はそう考えていると、筆者は思います。
5)大きな一歩よりも半歩を刻む
結果が出る、出ないにかかわらず、目の前の仕事に真剣に臨んでいるならば、大切なのはそれ以上にがんばろうとすることではありません。むしろ初志貫徹でやり続けることです。
筆者は、多くの一流になりきれなかった選手もたくさん見ていますが、そんな選手は、あるときはがんばりすぎたり、逆にあるときはがんばれなかったりと不安定です。
大股で1歩進むと、次の2歩目は苦しくなります。
2歩目を安定して出すためには、半歩ずつ確実に出したほうがいい。大股で次の1歩が踏み出せなくなるくらいなら、半歩を刻んで、やり続けるほうがいい。そのほうがはるか先にまで行くことができます。それを一流は理解しています。
「ギャンブラーに金持ちはいない」
ギャンブルの世界は、浮き沈みが激しい世界ですが、派手に儲けても、たった1回の負けですべてを失ってしまう人がいます。派手な勝負師ほど、金持ちであり続けることはほとんどありません。ギャンブルを職業としているプロのギャンブラーこそコツコツと確率をベースに、地道に判断しています。やり続けることの難しさは、あなたも十分に経験しているのでおわかりでしょう。
「本田選手がどうやって逆境を乗り越えたのだろう」という質問自体、視点が違うことに気づいてもらえたでしょうか。
6)「たった5分の価値」に気付けるか
「結果が出ないときは頑張らない」
そんなことを言うと、誤解する人がいるかもしれません。しかし、ピンチのときには、がんばってはいけないのです。大切なのは、コツコツと「半歩」をやり続けることです。あるときだけむきになってめちゃくちゃがんばるよりも、小さく続けることのほうが大切だと理解しなければいけません。これはなかなか難しいものです。
精神的に成熟していない選手に見られるのは、がんばるときはめちゃくちゃがんばるのですが、少しうまくいかなくなると「ああ、もうダメだ。やめた」となってしまうことです。これではせっかくすばらしい才能があっても、いいときはいいけれど、ダメなときはダメという選手になってしまいます。
ムラがあるということは、サッカー選手にとっては、大変な問題点です。
7)どんな条件下でも力を発揮できること
というのも、サッカーは、年間を通じてリーグ戦だけでも38試合あり、それに加えてカップ戦、チャンピオンズリーグがありますから年間50試合、さらに代表選手は、自国に帰って試合を重ねます。毎週2試合、年間を通じて消化しなければなりません。
そんな中、「今日は雨だから調子が悪い」とか、「今日は涼しいから調子がよかった」とか、「グランドの芝が悪い」とかそんなことを言ってはいられないのです。
どんな条件下でも監督の期待しているプレーを発揮しなければ、試合には使われません。超一流の選手は、いくら調子が悪いときでも、環境が悪いときでも「そこそこの力」を発揮します。
たとえばミラン時代に2度の得点王に輝き、2003-2004年シーズンのバロンドール(ヨーロッパ年間最優秀選手)にも選出されたアンドリー・シェフチェンコも、年間を通じて練習の前後に
「遠藤! ストレッチをやるぞー!」
と言って、必ず筆者を呼びに来ました。たかがストレッチですが、毎回の練習、試合の前後に5分間のストレッチを欠かさずにやり通した選手は、シェフチェンコのほかには、後にも先にもいませんでした。
8)誰にでもできる簡単なストレッチ
いくらでも続きそうなものですが、きちんと続けられる選手はいません。それこそ、シェフチェンコが超一流であるゆえんなのかもしれません。
彼らが続けることができたのは、「毎日、たった5分のストレッチを続けることの意義」。つまり「なぜやるのか」を理解していたからです。
実際に、シェフチェンコは、身体のバランスが崩れたときにどうすればいいかを理解し、解決策として「練習の前後のストレッチが自分には重要である」というところまでわかったうえで、単純なストレッチを続けていました。
「コツコツ」こそが、どんな試合でもベストパフォーマンスを出す秘訣だと理解していたのです。これが、「がんばらない」という意味です。
すぐに超一流の領域にたどり着くことは難しくても、「毎日、たった5分のストレッチを続ける」という価値に気づくことが、一流に近づく1歩なのではないでしょうか。
【一流の逆境力】
ACミラン・トラーナ―が教える[考える]習慣
著者:ACミラン メデジカル トレーナー・安藤友則

内容紹介
・本田圭佑選手は、昨シーズン「不調」と言われながら、いかに「復活」と呼ばれる結果を出したか
・「試練」を進化のチャンスに変える、超・一流の思考法とは!?
・世界のトップ選手は、なぜ本番に強いのか?
・人一倍の努力は、はたして結果に結び付くのか?
★「一流」とそうでない選手をわける、たった1つの「差」
世界中から一流が集うセリエA。その中でもさらに選ばれたトップ集団「ACミラン」。
そんな超一流の選手たちは、日々の失敗や挫折、敗北という「壁」をどうやって乗り越えているのだろうか。
日本人でありながら16年にわたり、ミランのメディカル・トレーナーとしてACミランの黄金期を支え、
世界最高峰のクラブで、シェフチェンコ、ガットゥーゾ、インザーギ、カカ、マルディーニ、ベッカム、
セードルフ、ロナウジーニョなどから絶大な信頼を集める著者がはじめて明かす「壁を乗り越える法」。
サッカー選手の、試練を乗り越える考え方はビジネスマンにも役に立つ!
日本人ながらにして「世界最高峰のサッカー選手」を知る男の、初めての著作。
・
・
・

遠藤 友則(えんどう とものり)Endo Tomonori